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Martin D45(1971) リペアー完了

今年5月に予約をしたギターのリペアーでしたが、11月になって順番がやってきて
ギターを送ると、約2週間でリペアーを終え戻ってきました。
ネックの状況を変えたかったですが、店主いわく、「リセットの必要はなく、前のリペアーマンが
適正な処置をしている」との事で、ネック状況と弾きやすさの向上は主に、リフレットと
ナット・サドルの再製作で調整を行う事にしました。

そもそも、元々1971年のネック幅は狭い方の42.9mmです。これがD45GEや戦前モデルの
リバイバル品であれば45mmとなって、手の大きな男性には弾きやすいのです。
それが3mm狭いだけでナットの弦の切込み幅が窮屈になり、特に2弦の1フレット辺りを
押さえた時にどうしてもミュート気味になってしまうのです。
それを、出来る限り広げた特製ナットを作ってもらいました。それでいて、決して弦落ちしない
絶妙の調整です。それと、1フレット以降のフレットの高さを上手く合わせて、軽い力で
弦を押さえられるようにすると、音の一つ一つがより生きてきます。

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前のナットと作ってもらった特製オフセットナットの違いです。
弦間が全く違います。

この状態で弦を張ると2mm切っていました。

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それでいて、サドルの高さもこれだけ残っています。
12フレットはナット・サドル間のちょうど半分の位置にあるので、サドルを1mm削ると
12フレット上では0.5mm下がる計算です。

それと、ペグも長年の間で動きにくくなっていたところを、分解掃除してもらいました。
これで、ピカピカです。

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チューニングには電子メーターを使い、ペグは直接触りません。
ペグに指の油が着くと、色あせが歪になるのです。

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サドルの2弦部分の接地を1mm下げているので、オンチにはなりません。


後は、アバロン貝の全体的なリペアーです。
Martinのビンテージのアバロン貝(メキシコアワビ貝)はその装飾の抑えの塗料が
どんどん剥がれてきます。それをヒビンテージの風味を損なえずに修繕していきます。

最後に軽くパフ掛けをして仕上がります。

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元々を知っているので、かなりきれいにパフ掛かっています。
1日経って、ネック具合を見てみると、12フレット上での弦高は2.1mmです、

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おそらく、ネックを触っていないので、この程度で落ち着くと思われます。
そして弾いてみると、軽い力でしっかりと全部の弦を押さえられます。
簡単なようで、これが一番難しいセッティングだと思います。

ちなみに、私の送った時のダンボールが薄かったので、専用のダンボールで
送ってくれました。「高級ギター取り扱い厳重注意」と印刷されています。
今後、この2重の分厚いダンボールで送れるので安心です。

リフレットをして、同い年の1971年生まれのギターを今後も大事にしていこうと思います。

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